本文へスキップ

ゆず農家 File.12 今吉さんちのゆず畑

今吉さん

地域おこし協力隊から農家に 北川村期待の若手のホープ

3年前のゆず新聞で「地域おこし協力隊」として、土佐北川農園で見習いをしていた今吉さんを取材しました。3年の活動を終え、彼が晴れてゆず農家になったというニュースを聞き、さっそく畑を訪ねたところ、今吉さんは3年前と変わらずやさしい笑顔で迎えてくれました。

「2022年9月に協力隊としての活動を終え、10月からゆず農家の仲間入りをしました。でも、ひとり立ちしたといってもまだまだ。この畑も、協力隊時代に師事していた土佐北川農園の田所さんから借り受けたものです。まだ不安の方が大きいですよ。木の本数も少ないですし。もちろん慣れてきたらまた変わるだろうし、もう少し畑の面積も増えてくればその不安も減ってくると思います。今がいちばんしんどい時だと思うので、まずは精一杯頑張ろうと思います」

田所さんから教わったことは何でしょうか?

「正弥さんから教わったことですか?全部ですかね。剪定も消毒も収穫も、とにかく正弥さんはたくさんの園地を管理しているので、そのスピードがとにかくすごい。僕はそれを教わり、見ながら学んできました。たとえば剪定は木の中の方まで陽が入るように枝を切っていかなくちゃいけないんです。正弥さんは『ギリギリ木の向こう側が見えるか見えないかくらいに剪定するといい』と教えてくれました。これは農家によって違うと思うのですが、僕はそれを意識しながらやっています。正弥さんには『切り過ぎ』とよく注意されましたけどね。今はそれを思い出しながらやっていますよ。この畑は昨年も僕が選定や収穫をやらせてもらったんです。独立したときに困らないように配慮してくださっていたんですね」

そこに見えるゆず農家の師弟関係に、なんだかまぶしい気持ちになります。さて、これからどんな作業があるのでしょうか?

「剪定があらかた終わったので、これからは消毒や草刈り、そして秋には収穫が待っています」

それは楽しみです。では、今吉さんはどんなゆずをつくりたいのでしょうか?

そう聞くと、間をあけずにこう返ってきました。

「きれいな実が作りたいです。多くのゆず玉を出荷したい。青果は加工の5〜10倍の価格で出荷できるんです。それには消毒のタイミングと上手さが必要だし、いい実をつくるために剪定で枝を間引いても、意外と量がなっていないと綺麗な玉がつかないんですね。やはり簡単ではないです」

それは田所さんの影響もあるんでしょうか?

「もちろんです。EUにゆず玉を出荷したのはやはりすごいと思います。正弥さんはゆずを始めて15年ほど。それであの量と質は本当にすごいと思います」

今吉さんはまだ32歳。これからの村のゆずを担っていく期待もかかります。

「僕だけじゃなく、北川村の地域おこし協力隊でゆずをやっていた人は、ほぼみんな村に残っているんです。それはすごいことだと思います。この間、20歳の地域おこし協力隊の若者が村にやってきたんですよ。彼は今ゆずを有機栽培で育てたいと頑張っています」

地域おこし協力隊で3年過ごしたあと、その人がその土地を離れてしまうケースは少なくありません。その中で、そのまま協力隊が村に就農したいと希望する。そして村はゆずを中心とした手厚い就農支援で、若者が働きやすい環境を作る。これはどんな移住支援よりも機能しているのではないでしょうか。北川村のゆずの未来は、少しずつ確実に明るい方に向かっています。

今吉さん(1) 今吉さん(2)

「北川村ゆず新聞」より転載


PAGE TOP