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ゆず農家 File.11 山田さんちのゆず畑

山田さん

北川村のPR大使 山田さんは今日も走る!

北川村の方なら、村道を走る山田英忠さんの姿を見たことがあると思います。高齢者が現役で活躍する北川村を牽引する存在の一人、和田地区でゆず農家を営む山田さん。御年87歳のマラソンランナーでもあります。

「生まれも育ちも北川村ですが、ゆずを始めたのは定年後から。わたしは山の中で木こりをしていました。そのあとは奈半利や田野の営林署で働き、平成8年の定年退職後にゆずを始めたんです。村はみんなゆずをやっていたのでやりましたが、わたしのゆずの畑はたいしたこだわりはないです」

そう笑う山田さんですが、ゆず畑はきれいに手入れされているのが印象的。自身はこだわっていないといいますが、どんなことにものめり込むタイプのようです。たとえば山田さんといえばマラソン。どちらかというとランナーとしての顔のほうが県全域で知られています。

「営林署の定年間際に、当時の署長に誘われて安芸のタートルマラソンに出たのが始まり。当時はこんなスポーツのなにが楽しいんだろうって思ってました」

そういって山田さんは笑いますが、すごいのはそこからです。「でも60歳の時に走ったマラソンの高齢者の部で、高知県の1位になったんです。でも全国1位は大阪の人でわたしは2位でした。翌年はまた2位。その翌年も2位。それで面白くなって練習しました。馬路で走った3時間30分25秒がベストタイムで表彰もされました」

これ、こだわりがない人にはできません。でも山田さんののめり込みはまだまだここからでした。

「そのあとは全国47都道府県すべての県のマラソン大会に出場しました。妻に『お前を連れて47都道府県のマラソン大会に出る』と宣言して、2人で日本中をまわり、それも達成しました」

山田さんはその後、72歳で東京マラソンも4時間5分で完走。一躍高知県の人気者になりました。そんな健脚で名を馳せた山田さんに、高知県から一本の電話がかかってきます。高齢県高知のPRのために高齢者5人で結成するユニット『爺-POP』のメンバー選出の誘いでした。

「県庁から電話があって『山田さん、高知県で5人元気な高齢者を集めていますからぜひ参加してください』と

いうことでしたので行ってみると、漁師が2人、百名山を登った郵便局長…、高齢者が5人集まっていて…。わたしは最年長で当時80歳。そこで爺-POPが結成され、踊りのレッスン動画が渡されました」

それからの活躍は周知のとおり。動画は3カ月で40万回以上の再生、数々のメディアで取り上げられ、地方から呼ばれて遠征までするようにもなりました。

尽きることを知らない山田さんの行動力と好奇心、その原動力はどこから来るのでしょうか?山田さんにたずねるとこんな答えが返ってきました。

「目の前にある課題を達成するために、やることをやっているだけ。別になんでもない。走らなくちゃいけないから、踊らなくちゃいけないから練習しているだけ。でも好奇心はありますね。手元に時刻表を置いていて、テレビを見て行きたい場所があるとすぐに時刻表でどうやって行くかを調べて、実際にそこに行くんです」

最後に「北川が好きですか?」という質問に、山田さんはこう答えてくれました。

「ここは静かでいいです。台風が来ても、このあたりはなんともない。山ん中だから9時まで日が出ないし、3時には日が沈みはじめる。でも静か。ここでの暮らしが好きですね」

そう笑う山田さんの背の和田地区の山々に、西日が当たってとてもきれいでした。

山田さん(1) 山田さん(2)

「北川村ゆず新聞」より転載


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