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ゆず農家 File.01 田所さんちのゆず畑

田所さん

北川のゆずをフランスへ シンガポール、UAEにも

村の山道を山頂近くまで上ったところに、田所さんの畑「土佐北川農園」はあります。この農園のゆずは、日本で初めてEUに輸出され、フランスをはじめ海外で大きな評価を得ています。10月のある午後、田所正弥さんを訪ねました。

「北川村のゆずが海外に出荷されたきっかけは平成21年。その年はゆずが獲れすぎて、農協が農家から買ったゆずを捌ききれずに単価が急激に下がりました。それまで右肩上がりだった単価に対して、市場での割高感と豊作が重なって、価値が下がったんです。なにせ獲れ高800トンが2100トンに増えたんですから。村や農家の設備投資も整ってみんなで頑張ろうって時に、3〜4年そういうしんどい時期が続いて。そのときに県が動いてくれて海外出荷が始まりました。その海外での評価が、国内のゆずのブランディングを再度高めるきっかけにもなりました。

フランスでは私たちのゆずは「KITAGAWA産」と呼ばれています。一方で国内では、まだ「北川産」とは言われていません。

いまは役場と農家が協力して、シンガポールやEUに売り込みに行っています。今後はUAEへの輸出を計画しています。ゆずがどんどん外国でも浸透し始めたんです。こんなに強い香りの柑橘はほかにないですし、なにより外国ではあまり作られていません。青果玉では、台湾も需要があります。台湾に出すには国内最高レベルしか出せないのですが、北川産は間違いなくトップクラスになれますからね」

常に穏やかな笑顔で話してくれる田所さんは、かつては建設業をしていたそう。その変化について聞いてみると、こう答えてくれました。「いまは毎日が楽しいです。なにより自分の時間が持てるし、いろんな人と知り合える。ゆずがコミュニケーションのツールなんです」

田所さんのようなパイオニアの存在が、北川のゆずをますます価値あるものにしています。一方で課題も明確だと田所さんは言います。

「ゆずの作り手の確保です。JAも行政も海外販路を意識してくれているので、販売の心配はあまりありません。どちらかと言えば供給がおいついていないので、ゆずを作る人に村に来てもらいたいです。村のゆず農家へのサポート体制は国内随一だし、日本一ゆずを始めやすい村なのも間違いない。村が農地を買って整備して、貸す。全国的にもここまで手厚いのは北川村だけです。技術面は農家で教え合いますし、農家同士の仲がいいのも特徴です。ゆず農家は収入も確保できるし、休みもとれますよ。

でも知らない人は入りにくいでしょうね。まずはそういった課題に対して、たとえばゆずのオーナー制度を始めるなどして入口を増やしてみようと思います。まあ、まずは村に遊びに来ていただくだけでもいいので、北川村を知ってほしいですね」


田所さん(1) 田所さん(2)

「北川村ゆず新聞」より転載


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