2021年度 北川村地域農業再生協議会水田収益力強化ビジョン
産業政策課 : 2021/07/05
1 地域の作物作付の現状、地域が抱える課題
北川村は、高知県の東部、徳島県との県境に位置し、南北に貫流する奈半利川によって村土が東西に二分され、奈半利川の本流、支流流域に集落とともに農地が点在している。面積の95%を山林が占め、農地面積は231ha(田95ha、畑136ha)に過ぎない典型的な中山間地域である。狭小で不整形な田が多く、ほ場区画も小さいことや温暖多雨な気象条件から、水田における土地利用型農業については、生産性、品質面から見て困難である。北川村は全国有数の柚子産地であり1,000t以上の果汁を出荷しているが、単価の高い青果出荷量は70tと少なく収益に繋がっていない。
また、高齢化などによる農家戸数の減少や後継者不足による担い手の問題と併せて、不作付地の増加が大きな問題となっており、今後、北川村の農業を維持していくために、これらの課題への対策が必要となっている。
2 高収益作物の導入や転作作物等の付加価値の向上等による収益力強化に向けた産地としての取組方針・目標
青果出荷に向けて、技術支援体制(JA、農業振興センター、高知大学)を充実することにより、栽培講習会(JA、農業振興センター)、とさ勉強会(高知大学)等を実施する。
スマート農業技術や内城菌など新技術の導入による収量・品質(青果率)の向上により、果汁にあわせて青果の輸出の推進を図る
3 畑地化を含めた水田の有効利用に向けた産地としての取組方針・目標
農地の確保
・園地情報の再整備、畑地化の検討
(意向調査、園地調査)
・ゆず園の集約化・流動化の推進
・新規圃場整備(北川モデル)
起業家農業者の育成
・起業家意識の醸成
・既存農家の規模拡大
・後継者新規就農者の確保
・起業家農業者研修生の拡大
・Uターン希望者への働きかけ
栽培技術の向上
・JA・農新センター等による指導の強化
・ゆずPTによる効率化・省力化の推進
・高知大学による勉強会の開催
・省力化機械の整備、スマート農業技術の確立
4 作物ごとの取組方針等
高齢化等による担い手不足を解消するため、農地の現状を集約した台帳を整備することで新規就農者への情報提供に活用していく。また、新規就農者への研修制度を構築し、担い手の育成に努める。また、中北部では柚子、南部では露地野菜や施設園芸の生産維持・拡大を図ることとする。
優良な柚子園地を創出するために、農地中間管理機構と連携した土地改良事業の実施や、産地パワーアップ事業等による施設園芸農家の収量増加に向けた環境制御技術の導入促進等を図る。
(1)主食用米
需要に応じた生産を行うとともに、地場産米の学校給食活用等の地産地消の推進や集落営農による生産コストの低減、省力化に努める。
(2)非主食用米
ア 飼料用米・米粉用米
村内での生産が増えるように栽培方法や制度周知の徹底や取組の推進を図っていく。
イ WCS用稲
主食用米の需要減が見込まれている中で、地域の畜産農家の需要があるWCS用稲については、平成26年度より村内での生産が始まり、年々、生産者及び生産面積は増加傾向である。また、WCS用稲生産圃場における牛糞の散布は、収穫物が堆肥として戻ってくる環境に配慮した資源循環型の農業サイクルであり、生産農家の肥料経費の削減に寄与することから、今後、更に取組農家が増えるように生産拡大を図っていく。
(3)高収益作物(園芸作物等)
ア 柚子
全国でもトップレベルの生産量を誇る柚子については、現在約135haの栽培面積があり、今後も本村の基幹作物に位置付けて、特産果樹としての柚子の産地化をより一層進めていく。また、日本で初めてEU諸国に青果の輸出を行う等国外にも販路を開拓しており、今後も青果出荷やカラーリング出荷を広げ、国内外ともに積極的な販路拡大に努めていくことで、収益性の高い青果出荷の割合を高め、農家所得の向上に繋げていく。今後、更なる生産量増加に向けた取組として水田からの転換を図るとともに作付けを推進していく。
イ 施設園芸
南部地区を中心に行われている施設園芸の品目については、その多くがミョウガを栽培しており、ミョウガを中心として、そのほかの施設園芸作物も含めて施設園芸の産地化を進める。しかしながら、園芸農家も高齢化しており、後継者のいる農家も少ないため、レンタルハウスの取組や新規就農者の受け入れ等、担い手確保の対策を推進する。また、収量増加に繋がる次世代園芸施設や環境制御技術等の普及・導入を推進する。
ウ 露地野菜
露地栽培についてはオクラとシシトウの取組が多い。これらについては柚子の農閑期に収穫できることや比較的高齢者でも栽培が可能であり、新たな初期投資もあまり必要でないことから、今後も安定的な生産が見込まれる作物であり、重点的に産地化を図る。また、その他の露地野菜についても水田の有効活用及び農業者の所得向上の一助となっているため、作付けを推進していく。
エ その他作物
主食用米の需要減が見込まれる中、主食用米からの多種多様な転換品目の作付けについて推進を行うとともに、産地化できる作物の掘り起こしを行う。
(4)畑地化の推進
北川村の基幹作物である「柚子」の担い手確保及び生産量拡大に向けた取り組みとして、一定まとまりのある耕作条件の良い樹園地の創出を行う施策を進めていく。
水田や不作付地等のまとまった農地を畑地(樹園地)への転換を図ることにより、栽培の省力化、不作付地の利活用、老木の若返り等の生産量の拡大に繋げるとともにまとまった経営農地を確保することによる新規就農者等の担い手確保を目指す。
5 作物ごとの作付予定面積等
6 課題解決に向けた取組及び目標
※葉わさび、スイカ、唐辛子(基幹作)
7 産地交付金の活用方法の明細
別紙のとおり